今回は新たな企画として成長株投資家である筆者が、銘柄分析の一環として今注目している銘柄についてこのブログで紹介していきたいと思います。
記念すべき第一弾は2020年9月28日に上場したてのrakumo(4060)です。
これを機にみなさんにも成長株の魅力を知っていただければと思います。
※あくまで銘柄分析のメモの一環なので詳細については各自で調査した上で自己責任での売買をお願いします(紹介する銘柄は私が持っている銘柄とも限りません)
Contents
基本的なデータ
企業概要
rakumoの企業概要は以下の通り
アドオンツール開発会社。SaaSサービス(グループウェア商品と連携した企業向け生産性向上クラウドツール「rakumo」の開発・販売)、他社ライセンス販売、ソリューション(導入支援、業務支援)を提供。(マネックス証券の会社より)
rakumoでは主にSaaSサービスとしてGoogleのグループウェアであるGoogle Workspaceと連携した各業務支援ツールを提供しています。
具体的には以下のようなスケジューラーやワークフロー機能、経費精算等をGoogleWorkspaceと連動する形で提供しています。
※この記事の画像はすべて2021年12月期第1四半期決算説明資料より取得しています
私も以前の客先ではGoogle Workspaceを利用してメールや会議室予約をしていたのですが、すべてが一律管理出来て中々便利でした。
rakumoではさらにそれを拡張して企業内の申請等がすべてGoogle Workspaceで管理できるようになるということですね。
提供形態はライセンス数ごとの課金で、機能単位での提供も行っています。
顧客にはmixiやHENNGE、クラウドワークスなど今を駆ける名立たる企業もrakumoを利用しているようですね。
クライアント数もこの5年間で倍程度に増えているようです。
決算データ
具体的な数値を見ていきましょう。
- 株価 1,602円(7/5時点)
- 時価総額 90億円
- PER 49.5倍
- ROE 32.38%
- 自己資本比率 57.3%
この記事を書いている7/5時点で時価総額は90億円と全企業の中では小型株の水準、PERは約50倍とSaaS企業の中では比較的低めになっています。
直近5/14に2021年12月期の1Q決算が開示されていますのでその数字も見ていきましょう。
2021年12月期の通期予想は売上高が1,013百万円(+23.2%)、営業利益が212(+58.2%)の見通しとなっています。(カッコ内は前期比)
1Qではその予想に対して大体20%強の進捗。売上内訳はSaaSサービスが全体の80%以上を占めており、ほぼストックでの売り上げとなるため各数値は下期偏重となる予定です。
順調にいけば通期予想は達成できそうですね。
注目したいのは営業利益率。通期予想では21%の営業利益率となっており、よくSaaSで言われる40%ルール(成長率+利益率=40%以上)にあてはめると、売上成長率23.2%+利益率21%=44.2%となり数字上はクリアしていることになります。
それでいてPER50倍はIPOしたての株にしては評価されていないのではと感じてしまいますね。
チャート
チャートも確認しておきます。

TradingViewより作成
上場直後は4,000円の高値をつけたものの、その後は下落傾向が続き現在は1,600円程度まで下がってきています。
上場後に買った人はほぼ含み損の状態なので需給はあまりよろしくありません。しばらく底を探る展開になりそうですね…
事業分析
基本的な数値を見たところで、今後の株価を占うrakumoの事業についてより詳細に確認してみましょう。
Google Workspaceという安定した基盤
事業概要のところで紹介した通りrakumoのサービスはGoogleのグループウェアという安定した基盤の元で提供されます。(別にSalesforceに対応したバージョンもあるようです)
そのため顧客企業としてもいきなり新しいサービスを導入するのではなく、Google Workspaceをグループウェアの基本として利用しながら足りない部分をrakumoで拡張していくという使い方が可能になります。
初期費用もかからないので、まるっきり新しいシステムを入れるよりも抵抗感が少なく導入できるのは大きなメリットではないかと思います。
契約更新率も約99%と一度導入すればほとんど解約されないという点も強みですね。
事業の拡張性
rakumoではライセンスごと、機能ごとでの課金体系をとっているため、新規プロダクトを開発することで既存ユーザーの単価アップにもつなげることができます。
また海外展開による新規マーケットの開拓も計画しているとのことで、今後さらに新規ユーザーとの契約が期待できますね。以下のように一人当たりユーザーの単価アップとユーザー数自体の増加により、今後一段と成長スピードを加速させることも夢ではありません。
GIGAスクール構想による恩恵
これはrakumoを取り巻く環境の面ですが、現在文部科学省で策案されているGIGAスクール構想において、多くの自治体がGoogleChromeOSを利用する予定とのことです。
結果Google Workspaceの利用ユーザーが増加し、rakumoのビジネスチャンスになると言うことが説明されていました。
これまでは企業内のグループウェアが主なサービス対象でしたが、小学校や中学校でのグループウェアにrakumoが参入することができれば確かに事業へ大きな影響を与えることになるでしょう。
GIGAスクール関連銘柄としてもrakumoはチェックしておきたいですね。
事業リスクについて
これまでは事業の良い面ばかり見てきましたが、考えられるリスクについても見ていきましょう。
競合他社の参入
現時点でrakumoのようにアドオンでサービスを提供しているSaaSプロバイダはそれほど多くないということが決算説明会の質疑応答にありましたが、それでもやはり競合他社やoogle自身が経費精算等のサービスに参入してくるリスクはあると思います。
またrakumo自体の使い勝手の問題からマネーフォワードやラクスの経費精算などGoogleプラットフォーム外のサービスに乗り換える顧客が増加することも危惧されますね。
Googleプラットフォーム上での事業制約
Google Workspaceという安定した基盤があるというメリットは、裏を返せばサービス対象となる顧客はGoogleプラットフォームを利用する企業に限られるということでもあります。
今後Google Workspaceで何か大きな不祥事や問題が発生し、世の中がGoogle Workspace離れに動き出してしまえばrakumoのビジネスも大きく傾くリスクはあります。
昨年時点でGoogle Workspaceの利用ユーザーのうちrakumoを利用するユーザーは10%程度とのことでしたので今後の市場拡大には十分な余地があるものの、Google Workspace自体が廃れてしまうリスクは頭に入れておかなければなりません。
まとめ
成長株分析の第一弾としてrakumoを分析してみました。
成長度や利益率を見る限りPER50倍は買いと判断してもよさそうですが、事業リスクやチャートの形を見ると気軽に買いで参入するのもためらわれる水準かと思います。
それでも今後の機能拡張性や海外展開、GIGAスクール関連銘柄であるため、新しく上場したSaaS関連銘柄として一目置かれる可能性は高いと考えています。
アノマリー的にはここから夏枯れで相対的に株価が弱い時期に入りますので、下落した時の監視銘柄に入れておく価値は十分あるのではないでしょうか。
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