最近ではウェルスナビやTHEOに代表されるように、AIが自動的に配分を考えて投資してくれるロボアドバイザーというサービスが増えてきました。
私も以前このようなツイートをしています。
実際AI投資の利回りって平均どれぐらいなんでしょう?
インデックスより低いなら投資信託で良いじゃんってなりそうだけど…
あと下落相場でどうなるかが未知数なのでそこも気になりますね
AIが株の売り時予想 SMBC日興がサービス開始: 日本経済新聞 https://t.co/czdjPZVo7h
— はるまき@資産運用ブログ (@harumaki_blog) July 26, 2019
私もロボアドバイザー存在に関しては以前より知っていましたが、手数料が1%ぐらいかかるというイメージが先行して手を出せずにいました。
ということで、今回は各ロボアドバイザーと投資信託(インデックスファンド)の利回りの比較を行いロボアドバイザー利用の是非について考えたいと思います!
・ロボアドバイザーの概要
・投資信託との利回りの比較
・ロボアドバイザーはやるべき?
ロボアドバイザーとは
概要
そもそもロボアドバイザーって何?という方も多いと思います。
ロボアドバイザーとはいわゆるAIのことで、いくつかの質問に答えることで自分のリスク許容度に応じた株、投資信託、債券などの組み合わせを自動的に購入してくれるというものです。

WealthNaviのページより
プランを選択した後は、その後の資産運用も自動でやってくれます。
「投資には興味があるけど何から始めたら良いか分からず不安」、「普段時間がなくて株や投資信託をチェックしている時間のない」という方にはロボアドバイザーも選択肢に入ってくると思います。
利用方法
利用方法としては下記の流れになります。
- 運用口座の開設
- 口座に入金(WealthNaviは最低10万円より)
- 運用プランに関する診断
- AIが自動的に投資商品を買い付けて運用開始
運用プランの診断については、口座開設する前に必要な場合もあります。
基本的には投資信託や株を買う流れと同じですが、③と④がロボアドバイザー特有の手順ですね。
私も試しにWealthNaviとTHEOの無料診断をやってみましたが、どちらも1分程度で完了し自分のリスク許容度を測定してくれました。
ロボアドバイザーの種類
ロボアドバイザーにも様々な種類があります。
ここでは代表的なものを紹介していきます。
ロボアドバイザーと聞いて真っ先に思い浮かぶのがこのWealthNaviという方も多いと思います。
よくテレビを見ているとCMで流れてきたりもしますよね。
WealthNaviはみずほ銀行・日本政策投資銀行などの大手金融機関や政府系ベンチャーキャピタルが出資するロボアドバイザーです。
手数料は1%のみで、国際分散投資を自動運用【ウェルスナビ】
サービス自体は2016年から開始しており、サイトトップにあるように預かり資産・運用者数No.1というのは心強いですね。
運用手数料は預かり資産が3,000万円までは年間1%、3,000万円以上になると年間0.5%になります。
預かり資産はリスク許容度に応じて下記の通り多様なETF(上場投資信託)に自動的に配分してくれます。

THEO
THEOは「お金のデザイン」という企業が提供するロボアドバイザーです。

こちらもリスク許容度に応じて海外の様々なETFを組み合わせてポートフォリオを作成してくれます。
WealthNaviとの違いは、最低1万円から利用できるということですね。
また下記の通り手数料がかなり詳細に分かれています。
カラー基準額は毎月積み立てを行い、出金をしなかったときに適用される手数料です。

ほったらかし投資で毎月定額を積み立てるのであれば手数料的にはWealthNaviよりTHEOの方がお得になりそうですね。
楽ラップ
楽ラップは楽天証券が展開するロボアドバイザーです。

こちらの運用コース診断も試してみましたが、「交流会の席で知り合いが一人もいなかったらどうする?」や「デパートで福袋が売られてたらどうする?」などより心理テスト的な設問が多かったのが印象的でした。
手数料は下記の通り固定報酬型と成功報酬併用型に分かれています。
実際にはこの手数料にファンド費用というものが0.3%ほどかかるようですので、実質は他のロボアドバイザーと同じ1%程度になりそうです。

また他のロボアドバイザーとは違う部分として、下落ショック軽減機能(TVT機能)というものがあります。
これは株式市場の値動きが激しくなった時に自動でリスク資産の株式の配分を下げ、安全資産の債権の配分を増やすというものです。

これがショック相場でどの程度まで機能するのかは疑問ですが、あると一応は安心ですね。
ロボアドバイザーの利回り
ここまで代表的なロボアドバイザーの種類を紹介してきましたが、実際の利回りはどの程度なのでしょうか。
ここまでで紹介したロボアドバイザーの利回りを調べてみました。
各ロボアドバイザーでプランごとの運用実績が公開されているので、それをまとめた結果が下の表です!
※期間は一番新しい楽ラップのサービス開始日(2016年7月)にあわせて、2016年7月~現在までを集計しています。
※WealthNaviは正確な値が2016年1月~現在までの通算でしか公開されていないかったので、年ごとに均等割りしています。
・リスク許容度最低のポートフォリオでの利回り(年率・円建て)
年度 | WealthNavi | THEO | 楽ラップ |
2016 | +2.47% | +8.45% | +2.54% |
2017 | +2.47% | +1.94% | +3.7% |
2018 | +2.47% | -6.58% | -4.62% |
2019 | +2.47% | +5.6% | +6.28% |
全期間 | +9.9% | +9.41% | +7.92% |
・リスク許容度中間のポートフォリオでの利回り(年率・円建て)
年度 | WealthNavi | THEO | 楽ラップ |
2016 | +5.37% | +15.74% | +14.38% |
2017 | +5.37% | +8.74% | +14.80% |
2018 | +5.37% | -9.70% | -12.61% |
2019 | +5.37% | +7.25% | +11.72% |
全期間 | +21.5% | +22.02% | +28.29% |
・リスク許容度最大のポートフォリオでの利回り(年率・円建て)
年度 | WealthNavi | THEO | 楽ラップ |
2016 | +7.32% | +20.22% | +12.84% |
2017 | +7.32% | +12.91% | +14.80% |
2018 | +7.32% | -11.59% | -12.61% |
2019 | +7.32% | +8.24% | +11.14% |
全期間 | +29.3% | +29.78% | +26.17% |
集計期間(2016年7月~現在)の中ではTHEOのリスク許容度最大が一番パフォーマンスが良いということになりました!
WealthNaviだけは2016年1月~の集計で、2016年前半のイギリスEU離脱問題等で株価低迷していた時期を含んでいるので、期間を絞るともう少しパフォーマンスが良くなるかもしれません。
2016年後半~現在までは株式市場は比較的良好な環境だったので、総じてリスクに積極的なポートフォリオの方がパフォーマンスは良くなっています。
楽ラップは下落ショック軽減機能があるのに2018年のショック時は下落幅が最大と、あまり恩恵を感じませんでしたね…
これだけ見るとロボアドバイザーでも十分な利回りが出せているように感じます。
投資信託の利回りとの比較
では次にインデックスファンドの投資信託との利回りを比較してみましょう。
インデックスファンドの投資信託で王道なのは、米国株のS&Pと連動しているものです。
最近始まった楽天VTIなどは古い時系列のデータがありませんので、今回はETFである上場インデックスファンド米国株式(S&P500)【1547】と比較してみましょう。
同じように2016年7月~の時系列データから年間の利回りを調べると下記の通りでした。
年度 | インデックスファンド米国株式(S&P500) |
2016 | +22.6% |
2017 | +14.0% |
2018 | -8.69% |
2019 | +18.75% |
全期間 | +46.6% |
全期間で見るとロボアドバイザーよりも圧倒的にパフォーマンスが良いのが分かります。
特に2016年後半と今年に入ってからの伸びがすごいですね!
米国株の凄さが分かる結果となっています。
グラフにするとこのような感じになりました。

黄色のグラフが上場インデックスファンド米国株式ですが、ほぼすべての年度においてロボアドバイザーのパフォーマンスを上回っていますね。
さらにロボアドバイザーは手数料を1%近く取られるのに対して、例えば楽天VTIであれば手数料である信託報酬は0.15%程度です。
このグラフと手数料を考える限り
「ロボアドバイザーなんてやめて素直に米国連動の投資信託を買っておけ」
と言わざるを得ない結果になりました。
利回り以外のメリット
結論を出す前に利回り以外にロボアドバイザーのメリットがないかを考えてみましょう。
ロボアドバイザー特有のメリットと言えば、自分で何もしなくてもAIがリスク許容度に応じて自動的に資産配分を変えてくれる点です。
例えば米中貿易戦争で株式相場が混乱した2018年では、紹介した投資信託の年間利回りが-8.69%だったのに対して、リスク許容度低を選択した場合のロボアドバイザーの利回りはTHEOで-6.58%、楽ラップで-4.62%とより小さな下げ幅に抑えることが出来ています。
自ら銘柄選択や投資信託を運用している場合は、株式市場が下落すれば損切りや買い増しの調整をする必要がありますよね。
しかしロボアドバイザーであればリスク許容度を低に切り替えるだけで自動的にリスクを抑えた資産構成にしてくれます。
このように自分で深く考える必要もなく、株式市場の動向を観察しながらリスク許容度だけ調整すれば良いというのは気持ちの面でも楽ではないでしょうか。
まとめ
私のふとした疑問からロボアドバイザーと投資信託の比較検証をしてみましたが、いかがでしたでしょうか?
今回の調査では、「ロボアドバイザーでなく米国連動の投資信託を積み立てるべき」という結論になりました。
確かにロボアドバイザーは投資初心者でも比較的敷居が低く、あまり投資のことが分からなくても分散投資が出来る素晴らしいサービスだと思います。
ただ将来的な利回りを重視するのであれば、ロボアドバイザーでなく投資信託の方が最適だというのが私の考えです。
最初の取っ掛かりはロボアドバイザーから始めて、徐々に投資信託に移行していくというのもよいと思います。
またロボアドバイザーはまだ始まって数年もたっていない比較的新しいサービスです。
今回は上昇トレンド期間での検証でしたが、今後もし下降トレンドに株式市場が陥るのであればその時はまた別の結果が出るかもしれません。
私としてもかなり興味深い内容なので、これからもロボアドバイザーの動向は追っていきたいと思います!
・利回りで考えると投資信託に軍配
・ロボアドバイザーの方が初心者の敷居は低い
・下落相場でのロボアドバイザーの実績は未知数
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