投資家にとって一年の一大イベントと言えば企業の決算発表でしょう。
良くも悪くも決算期には株価が大きく動きます。巷では決算またぎは「決算ギャンブル」とも言われており、リスクが高いことで有名です。
その値動きにうまく乗れて大成功を収めた人もいれば、翻弄されて失敗してしまった人も多いと思います。
では決算またぎは絶対に避けた方が良いかというとそうではありません。
今回紹介する確認ポイントをおさえておけば、リスクを抑えて決算またぎの成功率を上げることが可能です。
今回はそんな決算またぎでリスクを減らして最大限の利益を得るために、事前に確認すべきポイントについて解説していきます。
Contents
なぜ決算またぎはリスクが高いのか
そもそもなぜ「決算またぎはギャンブル」と言われるほどリスクが高いのでしょうか。
まずはそのリスクについて認識しておきましょう。
決算またぎのリスクが高くなる要素としては以下の3つが挙げられます。
- 決算が発表されることで期待が事実に変わる
- 決算と同時に業績予想の上方・下方修正する企業が多い
- 第4四半期は来期の見通しを発表することが多い
それぞれについて、詳しく解説します。
決算により期待が事実に変わる
株価は未来を織り込んで動くものとよく言われます。
PERが50倍、100倍の企業が世の中にたくさんあふれているのは、それだけ企業の未来に価値を見出して投資している投資家が多いということですね。
そして特に決算期にはその期待が株価に反映されやすいです。
「万年赤字の企業が黒字化」、「控えめな通期予想を出していた企業が上方修正」。これらのタイミングは株価が大きく動く瞬間であり、そこをターゲットに資金を投入している投資家も多いでしょう。
そして決算が公になることでそれらの期待が事実に変わり、その事実によって株価も大きく変動します。
決算が良かったから株価は上がるという単純なものではないため、決算ギャンブルになりやすいということですね。
業績予想の修正を行う企業が多い
1点目とも関連していますが、決算発表と同時に業績予想の上方・下方修正を行う企業が多いこともリスクを高めている要因です。
業績予想の修正は証券取引所によって下記のいずれかの基準を満たす際に、報告が義務付けられています。
- 売上高に対して10%以上の変動(プラスorマイナス)
- 営業損益、経常損益、当期純損益に対して30%以上の変動(プラスorマイナス)
本来は上記の見込みが生じた時点で報告しなければならないのですが、大体の企業は決算の1週間前~決算当日の間に発表します。
中には事業進捗が悪く思わぬ下方修正を発表する企業もあるので、決算期には特に注意が必要ですね。
第4四半期は来期の見通しを発表することが多い
そして特に第4四半期の決算では来期以降の業績見通しを発表することが多いです。
「今年は業績良かったから来年は利益をほとんど投資にまわして成長に備えます!」
という企業もいれば
「今年は自社製品のリコールで利益が出なかったけど、来年からは元に戻ります!」
という企業など、業績見通しの出し方は様々です。
特に成長企業の場合は前者のケースも多く、その場合株価は大暴落につながることがほとんどなので注意が必要です。
上記の要因で第4四半期の決算は特にリスクが高くなるため、安定を求める人は一旦ポジションを外すことも検討した方が良いでしょう。
決算またぎで確認したいポイント
ここからは決算またぎの成功率を高めるために、確認すべきポイントを解説していきます。
決算の傾向とコンセンサス
決算またぎのポイントとなるのはやはり企業が出す売上や利益の数値と、それに対するコンセンサスです。
企業がどのような決算を出すかなんて分かったらそれこそインサイダーですが、過去の決算推移を確認することである程度の予想が可能です。
過去の決算推移の確認にはマネックス証券の銘柄スカウターが便利です。
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銘柄スカウターでは過去5年分の決算推移を確認することが可能になっています。

上記はトヨタ自動車の決算推移ですが、これを見ると2Qは比較的弱く3Q,4Qに向けて利益が伸びていく下期偏重の決算となっていることが分かりますね。
つまり、たとえ2Qで通期の進捗率が思わしくなくても、3Q・4Qで見栄えの良い決算が期待できるということになります。
また銘柄スカウターでは過去の5年間の上方修正・下方修正の履歴を確認することもできます。以下はトヨタ自動車の業績修正履歴です。

上方修正が多い企業は予想を控えめに、下方修正が多い企業は予想を大胆に出すか事業環境が変化しやすい状態にあることが分かります。
通期予想の出し方のくせを見抜いて、第4四半期決算の前には勝率の低い勝負は避けるようにしましょう。
中期経営計画
企業が出している情報で確認すべきポイントはもう一つあります。
それは決算と一緒に提出される中期経営計画です。
そのスパンは企業によってまちまちですが、ほとんどが今後3年間で注力する事業や売上・利益予想が記載されています。
パワーポイントでまとめられていることが多く、その企業に投資するなら是非目を通しておくべき資料の一つですね。
直近で決算と一緒に中期経営計画を提出したMSOL(7033)を例にして説明します。
MSOLでは2019年12月13日に第4四半期の決算を発表し、同時に経常利益が35%減益という来期予想を提出しました。

出典元:株探
MSOLのPERは40倍近くあり、普通ならこの決算だと株価は大暴落です。
しかしこの通期予想にも関わらず株価は決算前の2200円付近から現在では3000円を超えるほどに大暴騰しています。
それは以下の中期経営計画書がお披露目されたからです。

もしこの経営計画通りに事業が成長すれば、PER40倍としても2025年には株価は36,000円となり現在の10倍以上にもなることが期待できます。
この中期計画があったからこそ、たとえ来期が減益予想だったとしても株価は上に向かうことが出来たのでしょう。
他の企業でも中期計画に売上や利益予想を立てている企業は多く、通期予想もある程度はそこからぶれない値になってきます。
そして意外とこの中期計画は無視されがちです。決算前にかかわらず銘柄分析を行う際は是非中期計画を最初に確認するようにしましょう。
チャートの形と信用買い残の多さ
最後に紹介するのは企業の公開する情報とは別の需給的な話になります。
「株は美人投票」と言われるように、いくら企業の出す決算が良かったとしても、それを買いたい人と売りたい人の需給が悪ければ株価はあがりません。
決算またぎをする際はその需給を表すチャートや出来高、信用買い残の多さを確認しておく必要があります。
信用買い残の調べ方や、買い残の多さの判断基準は↓の記事を是非参考にしてください。

決算日に向けてチャートが右肩上がり、信用買い残が上がっているほど短期で利益を狙う投資家が多いということで、好決算でも株価が下落することが多いです。
まとめ
決算またぎのリスクと、それを回避するためのポイントをいくつか紹介しました。
これを確認しておけば必ず失敗は防げるというものではありませんが、確認するのとしないのでは成功率に大きな差が出ると思います。
ただいくら研究しても決算またぎで食らうときは食らいますし、大きな利益を得られる代償と割り切った方がよいかもしません。
個別株を極めるなら決算は避けては通れない道です。確認すべきポイントを負けない投資を目指しましょう!
・過去の決算から通期予想の出し方を読み取る
・中期経営計画はまず最初に確認すること
・過熱している人気銘柄には近寄らないこと
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